■カルディの伝説
コーヒーの誕生に関する伝説はいくつかありますが、有名なものの1つ目がカルディの伝説です。
アラビア人のカルディは、エチオピアで山羊飼いとして生活していました。そんなある日、飼っている山羊たちが楽しそうにしている様子が目に入ります。何かと思って調べてみると、木になっている赤い実を食べていたのです。
そこで、カルディは試しに自分でも食べてみました。すると、爽快な気分になって、毎日赤い実を食べながら元気に過ごしていたのです。
そんなある日、イスラム教の僧侶がたまたまカルディと山羊たちの様子を見かけます。赤い実の効果に驚いた僧侶たちは、持ち帰ってみんなで食べることにしました。そうすると、眠気が覚めて爽快な気分になったのです。
甘酸っぱくて美味しいこともあり、その豆は魔法の豆として大切にされました。この豆が、コーヒー豆だったと言われています。
■シーク・オマールの伝説
2つ目の伝説は、シーク・オマールの伝説です。疫病が流行していた町にいた聖職者のシーク・オマールは、日々祈祷して病気の治癒を行っていました。そんなある日、オマールは、病気になった王の娘に祈祷を捧げにに行きます。無事に娘の病気は治ったのですが、王の娘に恋をしてしまったオマールは山に追放されたのです。
山には十分な食べ物がなく、オマールは困っていました。そんなある日、小鳥が木の枝にとまって鳴いている様子を目にします。その木の枝を見てみると、枝先に赤い実がついていました。
お腹がすいていたオマールは、その赤い実を食べます。とても美味しかったため、その実でスープを作ったのです。スープを飲むとオマールは元気になり、その噂は町まで広がりました。そして、オマールは町に戻ることができたのです。
この赤い実が、コーヒーの実であると考えられています。
■世界へのコーヒーの広がり
コーヒーが誕生してから、10世紀初頭には人々によって飲まれていたと言われています。アラビアの医師が、砕いたコーヒーの実を水に浸したものを医薬として使用していたという記録が残っています。つまり、コーヒーは当初、薬だったのでしょう。
13世紀中頃になると、イスラム教の一般信者によって飲まれるようになります。そして、14世紀中頃には、コンスタンチノープルに「カーネス」という最古のコーヒーショップが作られました。
しかし、コーヒーは歴史的に何度か弾圧されています。あまりにも人気が高かったのです。
15世紀初頭には、ヨーロッパ全土に拡大していきます。特にイギリスには多くのコーヒーハウスが作られて、男性たちは政治や文学について語り合いました。中には家に帰らずに入り浸る人もいて、怒った主婦たちが閉鎖を求めるまでに至っています。
フランスでは上流階級にも愛されて、多くのサロンが作られました。さらに、一般市民にも注目されて、街角には非常にたくさんのカフェが作られたのです。
そして、エスプレッソやドリップ式などが誕生し、コーヒーの飲み方は徐々に多様化していきました。今では世界中で愛されています。