トラジャコーヒーとはどこのコーヒーか

コーヒーが好きな人は、いろいろな産地のさまざまな品種を味わうことも一つの楽しみとしています。自分のお気に入りの産地や飲み方を見つけたり、希少と言われる豆を特別な時に楽しんだりと、コーヒーの世界はとても奥深いです。インドネシアには、「幻の」と冠される、とても希少なコーヒーがあることをご存じでしょうか。

1.幻のコーヒー

インドネシアのスラウェシ島で栽培される希少なコーヒーに、トラジャと呼ばれるものがあります。このトラジャコーヒーこそ、インドネシアの幻のコーヒーです。トラジャコーヒーはスラウェシ島で取れるアラビカ種の豆全般を指して言いますが、第二次世界大戦の際に、インドネシアのコーヒーは全滅の危機に陥りました。そんな中、10年以上の歳月をかけて復活したトラジャコーヒーは、幻のコーヒーと呼ばれるようになりました。 トラジャコーヒーが「幻の」と呼ばれるほど人気が高い別の理由に、品質そのものがとても高いことが挙げられます。インドネシアは昔はオランダの支配下にありましたが、トラジャはオランダの王室でも飲まれていたクオリティの高いコーヒーです。栽培が難しく、収穫量も少ない希少な豆は、その味もとても美味しいコーヒーなのです。

2.トラジャコーヒーの味の特徴

トラジャコーヒーは一体どんな味なのでしょうか。他のアラビカ種のコーヒーに比べて、コクが強いのが一つの特徴です。豆は比較的大きく、ローストは深煎りが美味しいと言われています。希少な豆に多く見られる品の良い香りと甘みが、力強いコクと上品な苦みが見事に調和しており、とてもバランスの取れた味わいを生み出します。 味ははっきりとしていますが、変な苦みや雑味は一切ありません。ミルクにも負けない力強さがあるにもかかわらず、コーヒーの持つ甘さと芳醇な香りがしっかりと主張している、トラジャコーヒーはそんな味わいを楽しむことのできるコーヒーです。

3.トラジャコーヒーが希少な理由

トラジャコーヒーは、インドネシアのスラウェシ島でのみで栽培されています。スラウェシ島は赤道直下で年間を通じて暖かな気候です。トラジャコーヒーが栽培されているのは、標高1200メートルの高地です。そこでは、昼と夜との気温差が15度以上にもなります。気温の寒暖差があることや年間の平均気温が温かいことなど、美味しいアラビカ種の栽培には欠かせない条件がそろっていることが、トラジャが希少な理由の一つです。 また、トラジャコーヒーはインドネシアの少数民族の人たちによって、徹底した品質管理のもと、栽培・収穫されています。第二次世界大戦で絶滅の危機に瀕したトラジャコーヒーは、日本の企業の手で復活を遂げました。その際に、コーヒー豆の栽培から収穫に至るまで、徹底的な訓練が施されました。トラジャコーヒーは現地の人たちが完熟した豆だけを手摘みで収穫します。また、欠点豆を選別する作業も現地の人が手で行います。 収穫量が少ないこともそうですが、一つ一つの作業を人が手で行っているのもまた、トラジャコーヒーが「幻の」と呼ばれるようになった理由です。