日本に来たのはいつ?日本におけるコーヒーの歴史を紹介

■江戸時代にコーヒーが日本へ伝来

日本にコーヒーが初めて伝来したのは、江戸時代初期のことです。出島のオランダ屋敷に持ち込まれたと考えられています。当時、外国人と交流できた日本人は多くありません。そのため、通訳や役人などの限られた人だけが、コーヒーを飲むことができました。味や香りが日本人には合わず、それほど普及はしなかったようです。

日本でコーヒーが受け入れられ始めたのは、明治時代だと言われています。開国によって外国の文化を受け入れようとする姿勢から、広まっていったのではないでしょうか。

さらに、神戸や長崎などに外国人居留地ができたことから、外国人との交流が盛んになりました。西洋の食文化に触れることで、コーヒーを飲む日本人が増えたと言えます。しかし、あくまでも上流階級の人しか口にできない高級な飲み物でした。

一般の人々にもコーヒー文化が浸透し始めたのは、明治時代の終わり頃です。日本で最初にできた本格的なコーヒー店は、東京上野の「可否茶館」でした。

■大正時代には一般的に広まったコーヒー

日本でコーヒーが一般的に広まったのは、大正時代です。先駆けは、森鴎外や石川啄木、永井荷風などがメンバーであった「パンの会」でした。「メイゾン鴻の巣」という本格的なコーヒーを提供する店を、文豪たちは社交場として使用していたのです。

その後、カフェ文化が広まっていきましたが、庶民にとっては敷居が高い店が多かったようです。そんな中、出来たのが「カフェ パウリスタ」という店です。最初は文学少年などが社交場として使っていましたが、一般庶民にも親しまれるようになり、最盛期にはなんと全国に20店舗以上の支店が作られました。

その理由は、圧倒的に安い価格にありました。高級料理店のおよそ1/3の価格で、本格的なコーヒーが飲めたのです。コーヒーの魅力にとりつかれた人々は、足繁く店に通いました。

そんなコーヒーは一度、日本から姿を消しました。敵国の飲料として輸入が停止された、戦時中のことです。

しかし、戦後には再び輸入されるようになり、多くの人々に飲まれるようになりました。コーヒーは当時、平和の象徴とも言える存在だったのです。

■3度のコーヒーブームとコーヒーのこれから

コーヒーはこれまでに3度のブームを経ています。1度目は、純喫茶が流行した1970年代後半です。ピーク時にはおよそ15万店以上の喫茶店がありました。日本中でコーヒーが飲まれていたのです。

2度目は、コーヒーショップが増えた1980年代後半です。ドトールなどのスタンドコーヒーの存在によって、全国的にブームとなりました。

そして、3度目はスターバックスが1号店をオープンさせた、1990年代後半です。同じくシアトルにルーツを持つタリーズも進出してきたことで、「シアトル系コーヒー」として親しまれました。

現代ではコーヒーはさまざまな場所で販売されており、消費量は増加傾向にあります。コンビニやファストフード店でも気軽に飲めるようになり、とても身近な存在だと言えるでしょう。今後も、さまざまな業態で注目を集めるのではないでしょうか。